監督・製作・脚本:リーフ・ヨンカー
出演:ランダル・アヴィクス(ライヴン)
ゲイリー・ミラー(トビー)
マイケル・ギシック(グレッグ)
セナ・ドナム(ケリー)
スティーブ・ブラウン(ジョディ)
リサ・フランツ(ダイアン)
ビル・フーパー(グレン)
クリストファー・オーウェン・マイケル(スティーブ)
ジェイク・エルカー(ジョン)
ヴェロニカ・ペイジ・デネン(婦警)
ロバート・ロウワー(ボブ)
一方、ロックコンサートに行っていた若者達が帰って来ると、町は吸血ゾンビに支配されているのだった。
生き残った若者達はトビーと合流し、決死のサバイバルを繰り広げるのだった。
(感想)
自主製作のゾンビ映画で、製作費はもう呆れるぐらいに低いものと思われます。それが顕著に出ているのが映像の画質の悪さと、演技者のヘタっぴぶり、そして脚本のメチャクチャ加減です。
それだけ見るととんでもないクズ映画と思ってしまいがちですが、映画の内容が「吸血ゾンビ軍団と生き残りの若者達のサバイバル」という愉快なストーリーであり、そのストーリーを特に横道に逸れる事もなくストレートに描いているので、他の日本でビデオ化されてる自主製作ゾンビ映画の中でも面白く見られる部類の映画でしたね。
画質が悪いと書きましたが、多分、撮影に使ってるのが、普通映画を撮るのに使うようなカメラではないような雰囲気です。しかも照明機材も一個しかないらしく、夜のシーンなど、照明の当たって無い箇所は何にも見えません。
ですがこの映像、ただ見づらいだけではなく、まるでドキュメンタリーの映像を見てるような、妙な臨場感が出てるんですよね。グロ系の特殊メイクも結構頑張っているんですが、そのメイクの粗が気にならなくなっているのも、この画質の悪さのおかげですしね。
ついでに、役者の下手な演技もかなり隠してくれてる雰囲気です(笑)。
ストーリーは突っ込み所満載なんですが、予算的に表現出来ない箇所なんかもあるんでしょうから、ある程度は大目に見ないといけないタイプの映画です。で、それを踏まえた上でも突っ込み所のあるストーリーなんですが(笑)、基本的にストーリーよりビジュアル優先で撮っている感じがあるので、やっぱり大目に見てもいいかなという気になってきます。
で、その肝心のビジュアルセンスですが、ところどころに「おおっ!」と感心してしまうようなシーンが出て来たりするんですよね。特に、廃屋内部で繰り広げられる、チェーンソーを使ったバトルや、夜の街頭で行われる吸血ゾンビの大群との追いかけっこなんかは、背景で鳴ってる音楽がノリのいいロックな曲のせいか、つい手に汗握って見入ってしまうほどでした。
また、敵のボスのライヴンが日の沈む頃に地面から起き上がってくる姿は、『ヴァンパイア/最期の聖戦』の、魔鬼ヴァレックが地中から出てくるシーンの元ネタかと思ってしまうぐらいです。
そういった個々のシーンを見るにつけ、なんとなくですが、この映画の監督、“映画監督”の才能よりも“CM監督”の才能の方があるような気もしますね。
ビジュアルセンスは悪く無いんですが、「一つのシーンがやたら長い」という問題があったりします。そのせいで映画が凄く冗長に感じてしまうんですよね。約90分ほどの映画ですが、あと10分〜15分ぐらい切ってテンポをよくしたら印象がかなり違ったと思うんですけどね。
まあ、これらはあくまでも素人の考えではあるんですけどね。でも、ラスト、延々10分使って吸血ゾンビや登場人物が血まみれで雄叫びを上げる様を映すのはどう考えてもやり過ぎだと思います(笑)。
ちなみに、先程から“吸血ゾンビ”という言葉を使ってますが、この映画に出てくる敵は正確にはゾンビではなく、ヴァンパイアらしいです。人を襲う理由も、肉を食らう為ではなく、血を啜るためのようです(でも、襲撃シーンはゾンビが人を襲ってる姿そのものに見えるんですが)。しかも、太陽の光を浴びると溶けたりします。
ただ、死人が生き返って、このヴァンパイアになるという描写もあるので、両方の性質を持っている存在なのかもしれないですね。
一見するとゾンビ映画なせいか、こんな投げやりな邦題が付けられてますが、このレベルの映画としてはきちんと面白く見られる映画なだけに、もっとちゃんとしたタイトルを付けてあげてほしかたですね。
(※書籍「ゾンビ映画大辞典」によると、ジョン・カーペンターが“ジョン・チャンス”という名義で編集を手伝っているらしいです。すると、ライヴンが地中から出てくるシーンは、マジで『ヴァンパイア/最期の聖戦』の元ネタなのかもしれないですね)